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Blog — 2026.09.29

会社を買う前に、ITの「名義」と「人」を確かめる

会社を買う前に、ITの「名義」「人」「契約とお金」を確かめておくと、引き継いだあとに業務が止まる事態を防げます。中小企業のM&Aで見ておきたい20項目を、売り手に聞く形のチェックリストにまとめました。

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会社を買ったあとで、「ホームページのドメインが、もう取引のない制作会社の名義のままだった」と分かることがあります。

こうしたITの落とし穴は、決算書や登記簿には出てこないので、気づくのはたいてい引き継いだあとです。

この記事では、中小企業のM&Aで、買う前に確かめておきたいITの20項目を、チェックリストにまとめました。

決算書にも登記簿にも、ITの落とし穴は出てこない

M&Aの前には、お金・契約・人事について、買う側が相手の会社を調べるのが一般的です。
これをデューデリジェンスと呼び、ITについて同じように調べることを、ITデューデリジェンスと呼びます。
大きな会社どうしのM&Aでは当たり前の手順ですが、中小企業の取引では、ITの確認まで手が回らないこともあります。
ところが、中小企業のITは、社長や1人の社員の頭の中と、個人の名義に散らばっていることがあります。

そのまま引き継ぐと、メールが止まる、請求書が作れなくなる、解約できない保守料を払い続ける、といったことが起こりえます。

見るのは「名義」「人」「契約とお金」。それに「守り」と「引き継いだあと」

20の項目は、次の5つに分けています。

名義とアカウント:そのサービスやアカウントは、本当に会社のものか
人:ITのことを、誰か1人だけが分かっている状態ではないか
契約とお金:引き継いだあとも、同じ条件で使えるか。毎月いくらかかっているか
守り:お客様や従業員のデータは守られているか
引き継いだあと:買う側の会社の仕組みと、どうつなぐか

チェックリスト:M&Aの前に確かめたいIT20項目

売り手の会社に聞く形で書いています。
「分からない」という答えが返ってきた項目が、確かめるべきところです。

名義とアカウント

会社のドメイン(ホームページやメールアドレスの「@」の後ろの部分)は、会社の名義で登録されているか。更新の手続きは、誰がしているか。
メール(Microsoft 365 や Google Workspace など)の管理者は誰か。その管理者のアカウントに、ログインできるか。
使っているクラウドのサービス(会計・勤怠・給与・顧客管理など)の一覧はあるか。契約の名義と支払い方法は何か。社長個人のクレジットカードになっていないか。
ホームページ・SNS・Googleのビジネスプロフィールの管理権限は、誰が持っているか。制作会社や、辞めた社員が持ったままになっていないか。
仕事で使うスマホ・パソコン・LINEのアカウントは、会社のものか、個人のものか。

人

ITのことを、社長か1人の社員だけが分かっている状態になっていないか。その人は、M&Aのあとも残るか。
その人しか直せないExcelのマクロや、Accessで作った仕組み、自作のツールはないか。中身を説明した資料はあるか。
システムの保守をしている会社はどこか。会社の持ち主が変わっても、同じ関係が続くか。

契約とお金

システムの保守契約やリース契約の一覧はあるか。解約の条件と、残りの期間・残りの支払いはいくらか。
契約の中に、「会社の持ち主が変わったら、相手が解約できる」「相手の同意が要る」という決まりはないか。この決まりを、チェンジ・オブ・コントロール条項と呼びます。
ソフトのライセンスは、使っている台数や人数に足りているか。個人向けの契約を、会社で使っていないか。
ITに毎月・毎年かかっている費用の合計はいくらか。使っていないサービスの支払いが残っていないか。
自社のために作ったシステムの権利(プログラムの著作権)は、会社にあるか、作った会社にあるか。

守り

お客様や従業員の個人情報は、どこにあり、誰が見られるか。外部の会社に預けているなら、その契約はあるか。
データのバックアップはあるか。そこから元に戻せることを、最後に確かめたのはいつか。
メーカーのサポートが終わったパソコンの基本ソフト(OS)や機器を、使い続けていないか。たとえば Windows 10 は、2025年10月にサポートが終わっています。
これまでに、ウイルスへの感染や情報の漏えい、不正なログインはなかったか。あった場合、どう対応したか。
パスワードを、付箋や表計算の一覧で共有していないか。辞めた人のアカウントは止めてあるか。

引き継いだあと

引き継いだあと、メール・会計・勤怠などを、買う側の会社の仕組みに移すか、そのまま使うか。移すなら、どれくらいの期間と費用がかかるか。
業界ならではのシステム(介護の請求ソフトや、建設の施工管理など)は、引き継いだあとも使い続けられるか。

20項目を一度に見られないときは、この3つから

時間がないときは、止まったときの影響が大きい順に、次の3つを先に確かめてください。

ドメインとメールの管理者(項目1・2):ここが止まると、メールもホームページも止まります。
1人への頼りきり(項目6・7):その人が辞めると、誰も直せなくなります。
解約の条件(項目9・10):知らないまま引き継ぐと、使わない保守料を払い続けることになります。

売る側の方へ

売る側の方も、この20項目への答えを先にそろえておくと、買う側の確認が進みやすくなります。

私たちがお手伝いできること

私たちWy-at.Technologiesは、名古屋を拠点に、M&AのIT・システム面の確認をお手伝いしています。
社会保険労務士・中小企業診断士・司法書士の先生方と連携して進めます。

調べる範囲とスケジュールを決めたうえで、資料の確認とヒアリングを行います。ITの資産やシステムの構成、技術面のリスクを洗い出し、統合に向けた論点とあわせて報告書にまとめます。ご希望に応じて、秘密保持契約を結んだうえでお話を伺います。

決算書に出てこない落とし穴も、買う前なら、まだ手の打ちようがあります。気になる項目があれば、お問い合わせからご相談ください。

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